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寒さがぐっとくる季節になりました。夕方になると、灯油売りの車の「た、ち、つ、て、とうゆ~…」のメロディが近所にこだましています。

うちには、来月で4歳になる息子がいるのですが、なんといまだに「卒乳」ができていません…でした。かれこれ三年ほど前から幾度となく断乳を試みたのですが、ことごとく失敗してきました。息子も「おっぱいは赤ちゃんが飲むんだよね。お兄ちゃんは飲まないんだよね。」と頭ではよく理解しているのですが、いざとなるとやっぱり「おっぱい…」になってしまうのです。夜中にぐずって寝ぼけながらも乳首を捜す様子を見るとつい根負けしてしまい、あげてしまう日々でした。「母親の決意が足りないのよ!!」と言われ続け、挙句の果てには上の娘にまで言われる始末でした。

ところが、ここ数日の話ですが、私が体調を崩し、抗生剤を服用せざるを得ない状況になりました。抗生剤を飲んだ方がいいという次元ではなく、抗生剤を飲まなければ大変なことになるという状況です。私は息子の説得を始めました。「お母さんね、お薬を飲まないといけなくなったの。お薬を飲んでいる時はおっぱいは飲めないから、これからはおっぱいやめようね!!」息子は「うん、わかった。もうおっぱい止める。」と言ってくれました。

でも、ここまでは今までも何度も口にしていたことであり、保育園の先生には「ぼく、おっぱいやめたよ。」と平気で話しているのであまり当てになりません。問題はその後でした。

いつもは言い始める夕食時も寝る前も彼は一度も「おっぱい」とは言いませんでした。やはり何かただならぬものを感じたのかもしれません。そして問題の夜中、これは半分本人の意識外なのでなかなか簡単ではありません。ぐずっている様子を見れば一目瞭然なのですが、それでも彼は決して口に出しませんでした。必死さが伝わってきて、私は涙が出ました。「ごめんね。がんばろうね。」と私が抱っこして泣きながら言うと、寝ながらもウンとうなずき、時間はかかりましたがそのまま寝てくれました。親子で乗り切った壮絶な一夜でした…。

感動の朝を迎えたのも束の間、翌々日には「おっぱい」という言葉も発するようになりましたが、どの道あげられないので私も説明し続けるしかありません。

ハタと冷静になって考えてみれば、『卒乳』って要はあげなければできるわけです。一般的な母親はそれができるのに、私はいつまでたってもできないから、神様は見るに見かねてこういう環境をお与えになったのだと思います。まだしばらく「おっぱい」という言葉は我が家から聞こえてくるかもしれませんが、後戻りすることはないでしょう。なぜなら「もうあげない!!」とやっと私が決意できたからです。4歳の誕生日を目前に控え、大きな一歩でした。

    By‥安 心世

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